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【特集】空き家が動けば まちが動く
【特集】空き家が動けばまちが動く
全国各地で問題となっている、適切な管理がされず放置された空き家の問題。令和5年に実施された住宅・土地統計調査で、宮津市の空き家率は34・5%と、京都府内の市町村でトップの数値であり、全国でもかなり高い数値となっています。
空き家の発生原因の多くは相続によるものです。建物を相続をしたものの、遠方にいるなどの理由で管理ができず放置されたり、知らないうちに相続していて、危険な状態になってから自身が空き家を所有していたことを知るなど、危険な空き家の発生原因は多々あります。元気なうちに家族でよく話し合い、方針を決めておくことが重要です。
今月は、空き家を巡る動きをお届けします。ぜひこの機会に、空き家を含めた所有する財産について考えてみませんか。
空き家の基本は適切な管理
空き家を放置すると景観の悪化や害虫の発生など周辺住環境の悪化に加え、ひどい場合には家屋の倒壊などによって、近隣住民の財産や生命を巻き込む危険性があります。空き家が原因で事故などが起きた場合、所有者が損害賠償責任を負う可能性もあります。
空き家の管理の基本
■ こまめに換気や通水などを行う
■ 傷みや雨漏りがないかなど点検 特に災害の後は必ず点検を!
自分で管理できない場合は、家族 や近所の方を頼ったり、業者に家 屋の点検や草刈りな どを依頼することも 1つの方法です。
維持管理だけじゃもったいない活用を考えてみませんか?
空き家の維持管理は、思った以上に大きな負担になる可能性があります。
しかし、視点を変えれば、空き家は「負担」ではなく、大きな「資産」でもあり、地域の未来を支える「資源」にもなり得ます。
「使わないまま、ただ守る」よ りも、「誰かの役に立つ形で活か していく」ほうが、ずっと建物も 喜ぶはずです。
空き家率が高い宮津だからこ そ、空き家が動き始めるとまちが 変わるはず! 今こそ、空き家を 「未来につなぐ資産」として見直 してみませんか?
空き家に関する新たな制度始まりました
相続登記の義務化
不動産の所有者を明確化し、空き家の発生や、それによる周辺への悪影響を防ぐため、令和6年から相続登記が義務化され、 相続をしたことを知った日から3 年以内に登記が必要になりまし た。所有する土地や建物の未来について、ぜひ一度、 家族・親族でご確認ください。
相続登記の義務化に関する詳細はこちら<外部リンク>
管理不全空家の措置
管理が不十分な空家に対する指導を強化するため、将来的に危険な状態になるおそれのある空家を「管理不全空家等」として認定する制度が新設されました。所有者に指導や勧告をし、適切な管理を促す取り組みです。勧告を受けると固定資産税の軽減が受けられなくなり、税額が最大6倍となります。
持ち家を売りたい・貸したい・活用したいそんなときは空き家バンクへ!
宮津市空き家バンクは、宮津市内の空き家の情報を提供することで「売りたい人」と「買いたい人」をつなぐ制度です。
登録から成約まで
- 相談
まずはご相談ください 窓口→協定不動産事業者・宮津市役所 移住定住促進係 - 物件調査
協定不動産事業者が物件を調査します - 登録
物件が空き家バンクに登録されます ※登録には条件があります。 - 契約
購入や賃貸の希望者が現れたら、契約が成立します
登録するメリット
- 空き家を利用したい方へ「無料で」情報発信ができる!
- 補助金が活用でき、物件を売れやすく(貸しやすく)なる!
- 宮津市と協定を結んだ事業者が仲介をするので安心!
〈事業者名〉 | 〈住所〉 | 〈電話〉 |
---|---|---|
(有)千賀不動産 | 鶴賀2070-31 | 25‐2115 |
トミタ環境(株) | 波路826 | 22‐3441 |
(株)沢田電気 | 日置3560-58 | 45‐1111 |
(有)ほくと不動産 | 鶴賀2066-53 | 22‐2223 |
内藤建築(株) | 喜多2221-7 | 22‐5544 |
泉不動産(株) | 鶴賀2060-1 | 45‐1733 |
不動産事業者に聞いた空き家バンクのいがいと…
こんな物件が売れることも!
・畑付きの物件
・敷地面積が広い物件
・残置物がある物件
売れやすくなるためにしておくこと!
・できる限りごみは処分する
・家の周りの草刈り
・家財などが残っている場合は、整理して配置
「売りたい人」にも見てほしい空き家バンク
空き家バンクに掲載される写真や物件情報をご覧いただくことで、ご自身が所有する建物も登録できるか、目安になります。
【Interview】 宮津市協定不動産事業者 株式会社沢田電気 不動産事業部澤田孝太(さわだこうた)さん
市内の空き家では、登記がされていない物件が多く見られます。未登記の物件は、状態が良くても空き家バンクへの登録ができません。まずは、ご家族や親族で土地や建物の所有者について不動産登記などを確認することが非常に重要です。
空き家の魅力は、地域の景観に馴染むことだと考えています。若い世代をはじめ、宮津に新たに移住していただきたいという思いで空き家の掘り起こしなどにも取り組んでいます。
実際に相談に来られる方の中には、「自分の家は売れないんじゃないか」と思われている方も多いですが、イメージとは異なり、意外と買い手がつく場合があります。空き家の活用は、状態が良いうちに早めに行動することが大切です。まずは、お気軽にご相談ください。
【Interview】 空き家バンクを活用された 醤食堂 池田裕一さん
大阪で飲食業を営んでいましたが、海のある地域に移住を考えており、空き家バンクで物件を探していました。ここは元々、古くからある醤油蔵で、内覧の際、オーナーさんから家の歴史やこの家で過ごした思い出などを深く伺ったことが印象に残っています。とても思い入れがある物件だということが伝わり、購入を決めました。軒先には、当時、醤油の製造で使われていた煙突を残し、お店の名前にも「醤ひしお」と付けさせていただいています。古いものと新しいものを融合させてお店を作りたいという想いが叶いました。これからこの場所を拠点に、地域の活性化にもつなげていきたいと考えています。
【Interview】 空き家バンクを活用された 山口匠海さん
移住を考える中、空き家バンクなどで物件を探しており、値段に対して状態の良かったこの物件に決めました。私は、移住後に農業をすることに軸を置いており、住宅は必要最低限の改修を行っただけなので、移住促進事業補助金で賄うことができました。その分、農業のために資金を回すことができた点が良かったと感じています。また、移住について相談をしていた「みやづ移住コンシェルジュ」のコーディネートで、物件を購入する前に地元の方と交流を深められたことも移住の決め手のひとつになりました。地域の方も心地よい距離感で、あたたかく迎えてくださり、移住して良かったと感じています。
空き家を活用する方への支援をご紹介
- 移住促進事業補助金
空き家を活用して移住をする場合の改修費用への補助(空き家バンク物件限定)
最大180 万円
問い合わせ:移住定住促進係 45‐1689 - 空家流動化促進事業補助金
空き家の家財道具の処分費用への補助 (空き家バンク物件限定)
最大10 万円
問い合わせ:移住定住促進係 45‐1689 - 創業等支援事業補助金
創業・第二創業や業種転換など、新しいビジネスを創出するために要した経費への補助
最大150 万円 ⦿空き家等を活用する場合等補助額加算あり!
問い合わせ:商工係 45‐1663
移住・地域での空き家の活用
宮津に移住をする方に多く利用されている空き家。地域の中でも空き家の活用に向けた動きがあります。それぞれの実情や課題、目指す姿など、現場のお話を伺いました。
【Interview】みやづ移住コンシェルジュ 木原麻里(きはらまり)さん
どんな問い合わせが多いですか?
子育て世帯が増えてきていますよ。学区の特色や安全に、のんびりと子育てができるか重視する方が多いですね。また、セカンドライフとして、釣りなどをしてゆったりと生活したい方や、起業のために店舗として活用したいという若い世代からの問い合わせもあります。しかし、移住者がその土地を気に入った場合でも、物件の選択肢が少ないため、移住を諦めるケースも多いです。空き家バンクへの登録が増えれば、その分、移住者とマッチングする機会も増えるので、ぜひご登録していただきたいです!
移住者を案内するときに大切にしていることはありますか?
移住者の方には、物件そのものだけでなく、地域を知ってもらえるよう心がけています。地域の方と移住者と事前に顔を合わせる機会を作ったりして、地域住民の方と移住者の双方が気持ちよく移住・受け入れができるよう努めています。
空き家所有者の方へ一言!
自分の家が売れるか、移住者はどんなニーズを持っているのか、空家バンクに登録するまでのフローなど、少しでも疑問や不安なことがあれば、ぜひお気軽に相談ください!メールやお電話でも受け付けています!
問い合わせ
みやづ移住コンシェルジュ
鶴賀2164-2 (前尾記念クロス ワークセンターMiyazu内※木曜休館) (Tel)050-5482-3345 (メール)[email protected]
【Interview】吉津地区自治協議会 坂根雅人(さかねまさと)さん
吉津地区では、組長の皆さんにご協力いただいて、地域内で空き家と思われる物件のリストアップに取り組んでおり、令和7年度時点で約60軒の空き家があります。草木が生い茂ったり、小動物が住み着くなど、危険家屋への対策と同時に、空き家がもっと活用され、地域の活性化につながってほしいとの想いで、このような取り組みを進めています。
自治協議会の中に「移住部会」を作り、地域での就農体験など、移住先として選ばれるための事業や受け入れ体制づくりも進めています。人口減少が進む中でも、定住していただいて一緒に地域を盛り上げてくれる人を増やすことが目標です。
ただ、一番の希望は、大学進学などで 一度地域を出た後 もUターンをして、 戻ってきてくれること。そうすれば空き家が発生することもありません。そのために運動会など、地域のつながりを 深める行事も行い、SNSで情報発信もしています。 地域の空き家の中には、まだ使える状態のものが多 くあります。今後も、市役所や地域の方々と連携しながら空き家を財産として磨き上げられるように取り組 みを進めていきます。
吉津地区移住特区のSNSはこちらから<外部リンク>
空き家活用の主な選択肢
空き家を託すという選択
活用というと自分で物件を改修するといった負担を想像されるかもしれません。「自分自身が空き家を使って賃貸や事業をする予定はないな……」という場合は、空き家を活用したい誰かに改修を含めて貸す(=託す)ことも一つの手段。この場合であれば、空き家所有者はご自身で改修などをせず空き家を活用する手法も考えられます。
宮津市空き家活用モデル事業
空き家活用のひとつとして「空き家を託す」というモデルを構築するため、市所有の物件を民間事業者に貸し付け、民間事業者が建物を改修して、事業を実施しました。
■活用事業者合同会社Kawatto
■事業形態地域活動を行う方や移住希望者等を対象とした宿泊事業
空き家活用モデル事業活用事業者 合同会社Kawatto 石川晃浩さん
もともと、宿泊事業をしたいと考えていたなか、宮津市の「空き家活用モデル事業」の募集を目にし、応募しました。「地域活動を行う方や移住希望者等を対象とした宿泊事業」を展開することで、関係人口の創出や移住定住の促進に貢献できればと考えています。空き家には、新築よりも事業のイメージが沸きやすく、周りのまちなみとの調和も取れているという魅力があります。この物件も、2階の和室を見たときに、すぐに客室のイメージがつきました。また、元からある部屋や外観のデザインも気に入ったので、あえて残しています。私自身、関東から丹後に移住し、このエリアには、海をはじめとした豊かなコンテンツがあると感じています。楽しく宿泊し、宮津の良さも感じてもらうことで、この地域のファンづくりや関係人口創出につながればと考えています。
空き家が活きるまちへ
人が住まなくなった家は、傷みが早く進み、事故や景観・衛生面でのトラブルにつながる恐れがあります。空家の放置は、所有者だけでなく地域全体の課題にもなりかねません。将来のリスクを減らすためにも、まずは家族でしっかり話し合い、適正に管理すること、そして活用の可能性を考えることがとても大切です。大事な資産を守るために、できることから始めましょう。
空き家に関わるご相談はこちら
宮津市役所移住定住・魅力発信課 移住定住促進係 45-1689