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【特集】人と自然がつなぐエコツーリズム
人と自然がつなぐエコツーリズム
日本三景・天橋立を擁(よう)する宮津。豊かな自然が観光資源となり、年間3 0 0 万人の来訪者を迎える観光のまちです。「天橋立」は時代や環境の変化により何度となく危機に直面し
てきましたが、多くの先人の努力によって素晴らしい景観が受け継がれ、地域の宝として訪れる人々を魅了しています。豊かな自然もただ存在するだけでは観光コンテンツにはなりません。観光のまち・宮津、そこには、その魅力を見出し、宝として磨き、発信をする「つなぐ人々」がいます。
【観光】は地域の光を観みること
皆さんは、「宮津を観光」したことがありますか。普段、暮らす場所であるため、意外と「観光をする」という感覚は持ちづらいかもしれません。しかし、ここは、古くから多くの人々の旅の目的地となってきたまち。私たち住民も改めて味わってみると、まちへの見方が変わるかもしれません。
今回は、宮津市で地域の魅力を市内外の方に発信されている3エリア(天橋立/上宮津/日置・世屋)のガイドの皆さんにお話しを伺いました。どのガイドの方も地域の魅力を多くの方に知ってもらいたいという熱い想い、そしてその土地に誇りを持っていらっしゃいました。
まずは、まちに繰り出し、魅力に触れてみませんか。きっと「地域の光」が見つかるはずです。
【天橋立エリア】天橋立の良さは眺めだけじゃない
【Interview】
天橋立エコツーリズムの会
三宅 英太郎(みやけえいたろう)さん 小谷 正(おだにまさし)さん
天橋立のココが好き 歩いて感じる松並木に息づく動植物たちの命
国内外の幅広い世代に向けて、天橋立の「むかしといま・植生と生き物」をテーマに、その魅力を伝えてきた「天橋立エコツーリズムガイドの会」。これまでご自身の足で集め、学んだ情報がびっしりと詰まった自作のガイドブックを見せてくれた小谷さんは、「『股のぞき』だけじゃないですよ。眺めだけじゃなく、植生が豊か。そして何気なく散策できる場所であることも魅力です」と語ります。三宅さんは、「海の上に松並木がある、あの風景。見る角度によって、眺めが異なります。昔から俳句・短歌や絵画などで表現されてきましたよね。色んな視点で見てみると、面白いと思います」と天橋立が持つ奥深さをお話しされます
会では月に一度、小天橋などを散策する勉強会を開催しています。その中で、天橋立の自然が変わってきているとお二人は言います。「2011年頃には小天橋の岸壁にたくさんついていてたムラサキイガイが今はまったく姿がみられません。また陸上でも外来種の植物が増えています」とのこと。ガイドをする時は、天橋立が抱える課題も伝えるようにしているというお二人。ガイドを付けることで「景色を見るだけでなく、自然・文化・歴史などを課題も含めて知ることができると思います」と小谷さんは話されます。
現在5人のメンバーが活動中。子ども向け、外国人向けなど各ガイドに特徴があるそう。「地元の方にもぜひご協力いただけたら嬉しいです」と三宅さん。「こんなにたくさん観光客がいらっしゃるのにおもてなしをしないわけにはいかないでしょう」と微笑むお二人。ぜひ、宮津の宝を改めてじっくり味わってみてはいかがでしょうか。
天橋立を一緒に歩いてみませんか?
日時:毎月第3木曜9時~11時30分(直近は11月20日、12月18日、1月15日、2月19日)
場所: 智恩寺山門9時集合
問合せ:宮津・天橋立エコツーリズムガイドの会
Tel:090‐9096‐0067
小谷さんと(左)三宅さん(右) 月に一回の勉強会の様子
鮮やかな朱色のハマナスの実
【上宮津エリア】杉山はまちの財産。多くの方に知ってほしい
【Interview】上宮津・杉山エコガイドの会
久古 直子(くごなおこ)さん 中川 昭一(なかがわあきかず)さん 堀田 雄次(ほったゆうじ)さん
杉山のココが好き☛天然杉、高山植物、古道、澄んだ空気に癒される
降雪時には白鳥のシルエットが浮かび上がる上宮津地区の杉山。樹齢300~400年の天然杉が群生します。「杉山には他にないものがあります。天然杉の密度が高く、元普甲道(もとふこうみち)も今普甲道(いまふこうみち)などの古道も残っています。高山植物もきれいですよ」と久古さんは話されます。古老の方々の「古道は歩けるで」という声がきっかけとなり始まった古道復活に向けた整備。会では、石畳が雑木や雑草などで埋もれないよう、高校生などのボランティアと一緒に、10年以上、道の清掃を行っておられます。参加した方からは、気持ちがいいとの声を頂くそう。「満足感を感じてもらえたら嬉しいです。この場所を知ってもらうきっかけになると思います」と中川さんはお話しされます。
杉山は岩でできた山。「蛇紋(じゃもん)岩を通り、花崗(かこう)岩を流れるので、水も美味しく、その水でできるお米も美味しくなる」と話すのは堀田さんです。
杉山に登り続ける理由を尋ねると、「行くたびに新たな発見があるのが魅力です。『こんな花があるんや』と、自然の中で新しい発見や楽しさがあります。地元の小学生や都会から来られた方も、『次は家族と来たい』『空気がきれい』と仰ってくれます」と微笑む久古さん。「杉山は市の財産でもあるので、地元の方にも知っていただきたいなと思います」と続けます。
春と秋にはガイドウォークも開催されています。取材の終盤、「あそこもきれいにしないと」とより良い環境作りに向けて話に花が咲く3人。人々が訪れることができる山であり続ける陰には、杉山を愛する皆さんの絶え間ない活動がありました。
(左から)堀田さん、久古さん、中川さん 杉山の巨木
白鳥が羽ばたく杉山
「上宮津杉山ものがたり」
問▶上宮津公民館(22-2415)
イベントなど詳細はこちら<外部リンク>
【日置・世屋エリア】命の共生を学ぶツーリズムを目指して
【Interview】
宮津世屋エコツーリズムガイドの会&世屋川流域エコミュージアムサービス
安田 潤(やすだめぐむ)さん
日置・世屋のココが好き☛見て楽しめる 標高差が生みだした植生の変化
「世屋と日置は川でつながっています。上流の川が下流の田に流れ込む。上流と下流の関係に実感が持てる地域です」そう説明する安田さん。川の流域では約600mの標高差があり、川沿いで、生態系の違いという垂直分布の変化が明確に見られるのが面白い土地です。また美しい棚田や古代布・藤織り、紙漉(す)きなどの息づくエコミュージアムとしての日置・世屋地域で、ガイドを続けてきた安田さん。目指すのは、牧歌的な雰囲気を楽しんでもらうことだけではなく、「エコロジーやジオロジーを学び、向き合える場所」にすることです。その先には、地域の生物環境の実践的な保全活動につなげたいという思いもあるそうです。
地域のことを調べるきっかけになったのは市内の高校生が行っていた在来タンポポの分布調査に協力したことでした。現在でも、市内外から子どもから大人まで多くの方が、この地域の自然や文化を学びに訪れます。活動の拠点の「マルヤ農林園上世屋と岡の前棚田跡交園」は、今年、環境省などが自然再興(ネイチャーポジティブ)施策として進める「30by30自然共生サイト」に、丹後海と星の見える丘公園とともに認定。現在、農園主の矢野(やの)さんが交流スペースを建設しておられます。この場所で農業や炭焼き体験のほか、クロモジアロマ抽出など地域資源を活かした体験コンテンツを考えているそう。「地域の中で、見逃していた魅力に出会えた」と話す安田さん。「ある高齢のご夫婦に世屋を案内したことがありました。奥様はそれまで体力・気力に不安があったそうですが、世屋から帰られた後、活力が戻られたそうです」地域が元気を与えたことの喜びをにじませます。
この土地には、心に響く魅力がある。地域を見つめ、見つけた宝を磨きあげてきた会の活動は、これからも訪れる方に、この土地の魅力を届けます。
共生サイトの地図とコンセプトを掲げる 松尾棚田から海を臨む風景
安田さん(左)と矢野さん(右)
絶滅心配種サンショウモ
取り組みの様子はこちらから<外部リンク>
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1200年の歴史が残る上宮津の古道を歩いてみた!👆<外部リンク>
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松だけじゃない!天橋立を彩る季節の植物<外部リンク>👆
いざ!まちへ行こう!お出かけインフォメーション
公共交通で一味ちがうお出かけを!
汽船でお出かけ!丹後海陸交通HP<外部リンク>(https://www.tankai.jp/<外部リンク>)
宮津市HP公共交通(https://www.city.miyazu.kyoto.jp/site/publictransport/)
潮風をきってまちをぐるっと巡る レンタサイクルのススメ
道の駅海の京都宮津 観光案内所<外部リンク>
普通自転車と電動クロスバイクの貸出を行っています。
時間:9時00分 ~ 17時00分
問合せ:道の駅海の京都宮津観光案内所
Tel:25-1382
学生考案のモデルコース<外部リンク>
市と連携協定を結ぶ大和(たいわ)学園で観光を学ぶ学生による記事。ぜひ、ご近所旅の参考にご覧ください!
宮津の美しい自然を駆け抜けるサイクリング!
ガイドに興味がある方は、宮津市観光係( Tel:45-1625)もしくは天橋立観光協会( Tel:45-1625)へお問い合わせください。