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宮津市役所の建物に注目してみたら実はスゴイ名建築物だった!

印刷用ページを表示する 記事ID:0005850 更新日:2021年2月25日更新
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宮津市役所本館の外観

 

「モダニズム建築」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか? 19世紀の産業革命以降、歴史的な様式から離脱し、鉄・ガラス・コンクリートなどの新しい素材を用いて、機能的・合理的な理念に基づいて建てられた建築のことです。

ここ宮津市役所も、そんな戦後のモダニズム建築を色濃く残す、とても貴重な建物だということを今回はご紹介させていただきます。

 

 

宮津市役所っていつからあるの?​​​​​

宮津市役所の歴史碑

 

庁舎が完成したのは約60年前の、昭和37年(1962)6月です。

宮津町と周辺7村(栗田村・吉津村・府中村・日置村・世屋村・養老村・日ケ谷村)が合併して宮津市が発足した後に、由良村を編入し現在の宮津市となりました。

発足当初は旧宮津町役場を新市の庁舎としていましたが、明治時代の木造建築のため老朽化もひどく、旧庁舎を取り壊して新たに現在の新庁舎が建設されました。

 

建設時の写真

 

設計を担当したのは沖種郎(おきたねお)。広島平和記念公園や東京都庁舎を手掛けた世界的な建築家である丹下健三氏の門下生で、奈良教育大や芝浦工業大学大宮図書館などを代表作とし、国立京都国際会館の設計にも携わっていた京丹後市峰山町出身の建築家です。

 

沖は庁舎建設にあたり、行政事務を執り行う施設としてだけではなく、市民に開けた公共性を担うものとして、ピロティ(1階部分を柱で支えた吹きさらしの空間)や広場を備えました。そして、宮津地域特有の景観である天橋立や城下町のなごりをとどめる町並みとの調和を意識し、新たな時代に応じた都市デザイン的配慮を組み込んだのです。

これはまさに“新しい宮津”にふさわしいデザインといえるものでした。

 

 

宮津市庁舎の特徴と見どころ

大手川を挟んだ宮津市役所本館

 

打放しの鉄筋コンクリートの外観が印象的な宮津市庁舎は、まさに無駄なものを削ぎ落とした戦後のモダニズム建築と言えます。

建物の構造は3ブロックで構成されており、メインストリートである本町通側の東西ブロック・中二階のあるふれあい広場側の南ブロック・その二つを結ぶ南北ブロックを高層・低層の建物がコの字に組み合った造りになっています。

 

宮津市役所本館ピロティ

 

その中で最も特徴的なのが、東西に伸びるブロック部分。

重厚な建物をピロティで支える構造は、建物としての建築空間を保ちながら、開けた空間が入り口正面に配置されていることで人々が自由に行き交うことができ、市役所と街を繋ぐ役割を担っています。

 

ピロティ

 

また、高層・低層建物のコの字型の構造は、見る角度によって建物の表情が変わるのも面白いところ。

メインストリートの本町通側から見るとどっしりとした重厚な建築に見える一方で、ピロティを抜けると一気に視界が開け、山や川を臨む開放的な空間が広がります。

 

二階から見るピロティ

 

おすすめのビューポイントは、本館東側の外階段を2階に上がったバルコニーからの眺め。

間近に見るピロティーの天井と建物の立体交差部分は迫力があり、普段と違う視点を楽しめます。

この石造りの建物に初めて入った際、RPGゲームの世界に迷い込んだような、ちょっと不思議な感覚を味わいました。

 

2017年、日本の近代建築の再評価と保存活動に取り組むDOCOMOMO Japanによって宮津市庁舎は優れたモダニズム建築の1つとして選定されました。

今もなお変わらず“活きた建築”として利用される庁舎は、戦後モダニズム建築の歴史を飾る建築物として貴重な存在といえます。

 

市民の皆さんにとって身近でありながら、あまり知られていない宮津市庁舎のお話。市役所を訪れた際はぜひ、細部まで見てみてくださいね。

 

 

〈データ〉

宮津市役所

所在地:宮津市字柳縄手345-1
電話:0772-22-2121
開庁時間:8:30~17:15
​定休日:土・日・祝日、年末年始

 

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