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第96回 郵便局の設置
郵便局の設置
日本の通信制度は古代まで遡り、各地に作られた駅家を、伝馬によってつなぐ「駅伝制」が起源とされます。鎌倉時代には飛脚が出現し、明治時代の郵便制度へと引き継がれていきました。
明治三年(一八七〇)、前島密によって郵便制度の創設が建議され、翌年には東京・京都・大阪に、日本初の郵便役所が設置されました。また、前島がイギリスから帰国した明治五年には、横浜、神戸、長崎、函館、新潟へと全国展開が図られ、さらに、江戸時代に地域のまとめ役を担った名主の自宅に郵便取扱所を置くことで、急速に全国組織に成長しました。
宮津における郵便局の設置は極めて早く、明治五年七月には、本町京街道の品川半兵衛宅に宮津郵便役所が開設しました。明治九年には魚屋町に移転され、宮津初の洋風建築であったと伝えられます。
その後、国内為替、貯金、和欧文の電信、外国為替や小包郵便など機能を拡充。明治三六年には宮津郵便局と改称し、本町通と西堀川通が接する角に移設しました。この時の建物(写真参照)は、宮津における洋風建築の本格的な出現を飾るもので、カトリック宮津教会(明治二九年)、府立第四中学校(明治三六年)とともに新しい時代の到来を感じさせたことでしょう。
こうした通信施設の開設は、近代以降、宮津が商業・流通センターとして経済復興を果たす上で、重要な役割を担ったと考えられます。