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第13回 山岳(山林)寺院 成相寺

印刷用ページを表示する 記事ID:0004996 更新日:2021年1月29日更新
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成相寺

山岳(山林)寺院 成相寺

 府中を見下ろす標高約350メートルの山腹に、成相寺は所在します。西国三十三所霊場の第二十八番札所として全国的に知られ、現在も多くの参詣客を集めています。

 

 平安時代には『今昔物語』に「成合観音」の説話がみられ、成相寺は京都の貴族の間でも有名な存在でした。また、室町時代には覚如など著名な僧侶が訪れ、その足取りが『慕帰絵詞』(重要文化財)に記されています。『成相寺参詣曼荼羅』には金堂・礼堂・五重塔などが描かれ、かつての繁栄が偲ばれます。

 

 ところで『成相寺古記』には、応永7年(1400)に山崩れで境内が倒壊したという記述がみられます。現在の本堂から標高で約70メートル登った地点は通称「古本堂」と呼ばれ、寺院に関連する平坦地が約60カ所も見つかっています。また、発掘調査でも、奈良時代から平安時代と考えられる石垣や礎石が検出され、この一帯が、現在の境内に先行する寺院跡の可能性が高まっています。

 

 これまで山中に築かれた、いわゆる「山岳(山林)寺院」は、平安時代に密教とともに広がったと考えられてきました。奈良時代に遡る「山岳(山林)寺院」の性格は、近年、注目を集める研究課題の一つであり、教育委員会が継続的に行っている成相寺の調査は、重要な鍵を握っています。
 

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