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みやづ歴史紀行(154回) 

印刷用ページを表示する 記事ID:0025493 更新日:2025年3月19日更新
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上世屋集落と「里山」

​​  上世屋集落は、豊かなブナ林に囲まれ、眼下には若狭湾を遠望できるなど、すばらしい自然環境に立地します。また、地すべり地形の平坦地には、笹葺屋根の民家や棚田(水田)が展開し、美しい「里山」の集落として注目を集めています。
 平坦地を最大限、居住地や棚田とする一方で、その周辺では多彩な土地利用がみられ、集落の生活を支えました。例えば、谷部や歩道沿いには、大豆やソバなどの畑が広がり、そこに生息する雑草は、牛の餌や、棚田や畑の有機肥料に使われました。また、周囲の山腹にはチマキザサの茅か やば場があり、笹葺屋根の材料として利用されました。かつては共同で屋根の葺き替えや補修が行われ、笹葺屋根の民家が、自然や棚田と一体となって美しい景観を生み出しています。さらに、集落を囲むブナ林は、豊かな山の幸をもたらすとともに、加工された薪や炭は、貴重な現金収入源となりました。
 このように上世屋集落では、周囲の自然資源を巧みに利用した生活が営まれるとともに、人間が自然の生態系に適度に関与することで、自然の循環と再生を促し、美しい「里山」を維持してきました。まさに上世屋の「里山」景観は、自然と人間の共同作品とみることができます。
 こうした自然環境や景観、生活文化が評価され、平成一四年(二〇〇二)に上世屋内山が京都府自然環境保全地域に指定されたのをはじめ、平成二一年に「棚田と笹葺き民家が織りなす上世屋の里山景観」が京都府景観資産に登録、平成二二年には「宮津市上世屋の山村と里山景観」が京都府文化的景観に選定されました。
 特に、日本の「里山」は、持続可能な社会システムとして、世界からも高く評価されており、その保全と継承が望まれます。(宮津市教育委員会)

歴史紀行
(上世屋の集落)

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