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My Place マイプレイス ~オリーブがつなぐ地域の輪~
宮津で「輝く人」を紹介する「My-Place」
由良川沿いに整然と並ぶオリーブ農園を目下に臨む「由良オリーブ工房」。そこで温かく出迎えてくれたのは、「由良オリーブを育てる会」の藤本徳雄(ふじもとのりお)会長と渉外担当の藤原(ふじわら)みどりさんです。
旗揚げから12年目を迎えたオリーブ栽培。藤本さんは、15年ほど前に由良地区へUターンし、みかん栽培などをしていたといいます。そんな折、「由良でオリーブを育てないか」という話が舞い込んできました。「最初は乗り気じゃなかったけど。大博打やと思ってやってみることにしたんです」と藤本さん。その裏側には、担い手のない農地が増え、目に見えてまちの元気がなくなることへの危機感がありました。「立ち上げは本当に苦しかった」と当時を振り返ります。今では美しい農園も、元は耕作放棄地。木の伐採から土をおこすまで、全て会員たちで行いました。「文句ひとつ言わない。最高の仲間です」と目を細めます。そんな会長を隣で見つめる藤原さんは、3年前に大阪から移住。以前から、由良出身のご主人とともにイベントの手伝いをしていましたが、現在はチラシ作成から商品開発まで、幅広く信頼を集める存在です。
これまでに、オリーブオイルのほかにも、せんべいや塩、観賞用のスワッグなど、多様な製品が誕生してきました。会員同士が和気あいあいとアイディアを出し合う中で「やってみようか!」と話が進むそうです。作業体験やオリーブサロンも開催し、ファン作りにも注力。「せっかく育ったオリーブ。次世代に引き継ぎたいです。生計を立てられるようにできれば」と藤原さん。収益化に向けた調査も進めています。
「大博打」として始まったオリーブの栽培。「やって良かったですよ。
会員のみんなをはじめ、人との出会いがいっぱいありました。つながりを得られましたね」とまっすぐに話す藤本さん。今年も、5月にはお花見会、10月にはオリーブ祭を開催予定です。オリーブがつないだ、強くて、優しい、朗らかな輪。みなさんもその魅力に、ぜひ触れてみてください。