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My Place マイプレイス 「音訳広報誌」届けます
宮津で「輝く人」を紹介する「My-Place」
しんとした大きな会議室の一角に設けられた録音ブース。今回は、この場所で活動をする「音訳ボランティア」を代表して、白鳥堯子(しらとりたかこ)さんと小丸京子(こまるきょうこ)さんにお話を伺いました。
おふたりは、宮津市や社会福祉協議会などの広報誌をテープに録音し、視覚に障害のある方に音声で伝えるボランティア活動をされています。
白鳥さんは、40 年ほど前、宮津へ移住された際、「宮津のことを知りたい」と、当時から市の広報誌を音訳していた「ささご会」に入会。小丸さんは、退職後、「元気に楽しく過ごしたい」と、高齢者施設での読み聞かせを行う「あめんぼ」に入り、今年の1月からは白鳥さんとともに広報誌の音訳ボランティアもされています。
録音にかかるのは約2時間。録音日までに役割分担をし、練習をして本番を迎えます。体力と集中力を要する活動に「大変だけど、終わったらとても達成感を感じます。楽しいですよ」とにっこり。
そんなおふたりが何度も口にしたのは「利用者の顔が見たい」ということ。テープは郵送するため、利用者と顔を合わせることはありません。「昔交流会で出会った方がどうされているか気になります」「視覚障害者の方との交流会があれば必ず参加したいですね。今は一方通行のように感じます」と熱を込めてお話されました。なぜ、そこまで強く願うのか。その答えはお二人の活動に現れていました。
限られたテープの尺に収めるため、どうしても必要となる記事の選別。お二人はそれを、利用者がどんな生活スタイルだろうか、どんなことに興味があるだろうか、と懸命に想像しながら選んでいました。さらに、尺に余りがでれば、「楽しんでもらえたら」と、新聞の切り抜きを見つけてきて吹き込むそう。利用者の生活に寄り添い、思いを巡らせる姿がありました。
「情報の格差があってはいけないんです。たとえ利用者が1人になっても続けます」と白鳥さん。これからより多くの方に情報を届けるために、発信手段の勉強もしたいとお話されます。
90分のテープに吹き込まれるのは、ひたむきな想いが紡ぐ、温かな声でした。