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サイズは天然物の1.5倍!宮津の夏の味覚「丹後の海 育成岩がき」

印刷用ページを表示する 記事ID:0015021 更新日:2022年5月13日更新
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岩がき1

 

レモンをキュッと絞って生でいただく、夏の味覚 「丹後の海育成岩がき」。一般にカキは海のミルクと言われるほど栄養豊富で、滋養強壮や疲労回復に効果があるといわれるタウリンや亜鉛などの成分を多く含み、体力の消耗の激しい夏場にも最適の食材です。イワガキは、京都の海では東は舞鶴から西は京丹後までの各海域で養殖されています。
今回は、栗田湾で「丹後の海 育成岩がき(以下、育成岩がき)」を育てておられる漁師さんに、育て方や美味しさの秘密についてお話を伺いました。

 

宮津市で「丹後の海 育成岩がき」が始まったキッカケ
 

岩がき2


栗田湾で「育成岩がき」が育てられるようになったのは平成のはじめ頃。日本でカキといえば鍋やフライにして食べるマガキがポピュラーであり、イワガキはまだそこまで人気がなく、漁師さんたちもほとんど利用していませんでした。そのため、古くから宮津の海でも天然のイワガキがたくさん生息していました。


 

岩がき3


ところが、グルメ番組などで夏の味覚としてイワガキが取り上げられるようになると、全国的にイワガキ人気に火が付きました。宮津湾や栗田湾でも漁獲されるようになり、次第に天然イワガキがとれなくなってしまったのです。そのことに危機感を感じた京都府の研究機関が地元の漁師さん達とともに、イワガキの養殖をスタートさせたのが、「育成岩がき」の始まりです。なお、京都では養殖という言葉を使わずに育成という言葉を使っています。


良質な植物プランクトンが豊富な栗田湾
 

岩がき4


今回、「育成岩がき」のお話を伺ったのは、京都府漁業士会会長でイワガキ育成歴15年の小倉耕平さんです。

 

岩がき5


早速、船で「育成岩がき」が垂下されているイカダまで連れていってもらいました。イカダがあるのは栗田湾の一番奥。小倉さんによると、「この栗田湾は、どんなに風が吹いても波が穏やかで、由良川から運ばれる栄養塩により豊富な植物プランクトンが富む良い場所」なのだそうです。イカダ1基の大きさは8×12m。周辺には、小倉さんの所属する漁業者グループをはじめ、海洋高校生が実習で使用するイカダなどがズラリと並んでいます。


「丹後の海 育成岩がき」はこうやって育てる!
 

岩がき6


イワガキの育成はとってもシンプル。まず、ホタテの貝殻に3~5mmほどのイワガキ稚貝を1枚につき約10個以上付着させます(この工程は専門の業者が行います)。このホタテ殻を約9mのロープに等間隔に6枚通し、1連とします。取材時は現物がなかったので、イメージしやすいよう小倉さんが身近な漁具等で説明してくれました。

 

岩がき7


12月からイワガキ稚貝(約3~5mm)の付いたホタテ殻1連をカゴに入れ海中に垂下します。カゴに入れて稚貝を育成するのは、カワハギなどの魚が稚貝を食べてしまうのを防ぐためなのだとか。
翌年4月頃、カゴから1連ずつ取り出しイカダへと吊るして、栄養豊富な栗田湾の天然プランクトンを食べてイワガキ稚貝は大きく育っていくのです。
 

岩がき8


栗田湾での水揚げは4年後の4~8月に行われます。出荷を待つ「育成岩がき」が吊るされたイカダは、開始時と比べて、大きく成長したイワガキやホヤ類など多量の付着生物の重さでぐっと沈んでいます。今年(2021年)はイワガキの成長が良好で、小倉さんのイカダでは1本のロープで50個ものイワガキが育ったそうです。

 

岩がき9


イワガキ1個が300gとすると、単純計算で1本のロープに付いたイワガキの重さは約15kg。それにホヤ類、海藻等の付着生物や海水の重さを加えたら相当な重さになります。さらに、イワガキを落とさず傷つけないように、慎重に海中から引き上げていきますので、とても体に負荷のかかる重労働ですね。

 

岩がき10


海中から引き上げたイワガキは、高圧洗浄機で表面に付着した海藻やホヤ類などをきれいに除去します。通常は船上で行うのですが、今回は特別に陸上で作業を行ってもらいました。

 

岩がき11


​​そしてイワガキを1個ずつバラバラに分離する「原盤割り」を行います。分離する前のイワガキは、まさに岩の塊のよう。原盤割りの様子を見ると、まるで彫刻作品を作っているみたいで、このように何重にもくっついたカキをタガネなどの工具を使って手作業で丁寧に分けていきます。失敗すると殻が割れて身がはみ出してしまうので、壊さないように分離するためには慎重さと経験が重要です。作業で1個ずつバラす原盤割りは非常に大変な作業ですね。

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天然物より約1.5倍もの身が詰まった「丹後の海育成岩がき」

岩がき12


​​早速、殻を開けてみると、中はビックリするほどの大きさ!同じ大きさの天然貝よりも約1.5倍もの身が詰まっているのだそうです。
今回の取材のために持参した、同じ栗田地区にあるお酢醸造所・飯尾醸造<外部リンク>さんの「富士ゆずぽん酢」をかけて生鮮なイワガキをいただきました。先ほどまで海中にいた小倉さんのイワガキは、肉厚でぷりっぷり。そして海のミルクとはよく言ったもので、とてもまろやかでクリーミー。海の恵みたる磯の味が口いっぱいに広がりました。

 

岩がき13


京都では「育成岩がき」は早いところでは約3年で出荷している地域もありますが、栗田湾では4年かけてしっかり育てています。「栗田湾の育成岩がきは身入りを良くするため、長い年月をかけてしっかり育てる分、味は濃厚。そしてエグ味がないんですよね」と小倉さんは語ります。
波の影響が大きい海域では、育成中の塊状のイワガキが脱落することを防ぐためカゴに入れた状態で育成することもありますが、ここ栗田湾は波が穏やかなためそのような心配はなく、カゴには入れずにロープに吊るした状態で育成できます。
「餌となる植物プランクトンの多い最適な水深へと直接垂下することにより餌当たりを良くし、しっかり身が詰まったイワガキを作ることができるんです」

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「丹後の海育成岩がき」の未来
 

岩がき14


イワガキを生食用として出荷する前には、食品衛生上、必ず滅菌海水による浄化処理を行わなくてはいけません。栗田地区では、浄化施設のある舞鶴市場に出荷しています。そのため、この栗田湾で育成されても舞鶴産として市場に出回っているのが現状です。

 

岩がき15


「今年は約1万個のイワガキを水揚げしましたが、全て舞鶴市場に出荷しています。私としては、やはり地元でとれるものは地元で食べてもらいたいと思っています。宮津市内のホテルやお料理屋さん、お土産屋さんで宮津の海で育成されたイワガキが取り扱われるようになれば、『宮津産育成岩がき』というブランド品として育てていくことができるのではないかなと考えています」
現在、小倉さんは海洋高校の協力のもと、イワガキを使ったハンバーガーの開発試験を進めています。気軽に食べられるハンバーガーなら、いろいろな場所で販売することができるし、出荷する規格に満たなかったイワガキを利用することもできます。海洋高校では地産地消を基本に地元の魚介類を素材にした製品を開発し、第20回シーフード料理コンテスト(令和元年)に低利用のサメを使った「シャークバーガー」を出品したところ、水産庁長官賞を受賞した経験もあるので、きっと美味しいハンバーガーができるはず。今から楽しみですね。

宮津の「育成岩がき」、今後もぜひ注目してみてください。

 

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