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糠の香ばしさが食欲をそそる!宮津の故郷の味「へしこ」

印刷用ページを表示する 記事ID:0011049 更新日:2021年9月8日更新
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ずばり、へしこという食べ物をご存知でしょうか? 野菜? お肉? お菓子? いいえ、へしこは魚です。サバなどの青魚を糠(ぬか)漬けにしたへしこは、日本酒やご飯のお供にぴったりの宮津の郷土料理。今回は「宮津遺産」にも選ばれているへしこを作る「浜文商店」の日置さんに、その美味しさの秘密を教えてもらいました。

 

聴き慣れない人も多い…青魚を使った郷土料理「へしこ」って?

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へしことは、青魚を糠漬けにした丹後半島と若狭地方の郷土料理。主にサバが使われますが、中にはイワシなどを漬けることも。脂の乗った青魚を発酵させることで旨味や甘味がじんわりと増し、なんとも言えない乙な味わいになるんです。

へしこの歴史は古く、戦国時代にはすでに食べられていたとも言われます。誕生のきっかけは、冷蔵庫のない当時、傷むのが速い青魚を少しでも長く食べようと知恵を絞り、塩と糠で漬けることで、梅干しや味噌と同じような保存食としたのだろうと考えられています。

「私が幼い頃には、大人の背丈ほどもある大きなかごにへしこや野菜、お米などを入れて背負い電車に乗っている人をよく見かけたものです。きっと内陸部や都市部まで、食材を売りに行っていたのでしょうね。昔のへしこは腐るのを防ぐために大量の塩を使い大きな重石を乗せて作られ、塩辛く固い仕上がりでした」と日置さん。

冷蔵や冷凍の技術が発展した現代では塩による徹底的な防腐の必要はなくなり、塩分を控えようという健康志向も相まって、塩を抑えた漬け方をするお店も増えてきています。「今ではだんだんと、腐らせないことよりも発酵食品ならでは美味しさや、魚の持つジューシーさを引き立たせることを重視して、より美味しさを追求するようになりました」。

 

魚が旨味と甘味をぐんぐん蓄える!その製法とは?

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「一般的なお漬物と同じで、へしこの製法もお店によって本当に様々。漬ける期間も糠に混ぜる調味料も、皆独自の作り方で味を競っています。なので、お店によって味わいが様々なのもおもしろさ。食べ比べて楽しんでみてくださいね」と日置さん。

その中でも、創業およそ100 年になる「浜文商店」ではなるべく昔ながらの手法でへしこを作っていると言います。頭がついたまま丸々漬けるところもありますが、「浜文商店」では身を三枚おろしに。まずは塩漬けして、アクなどを抜く下準備が必要です。塩加減や天候によって変化しますが、およそ10日〜2週間漬け込んだら、糠に漬ける本漬けの作業。「浜文商店」ではシンプルに糠と塩だけを調合しますが、麹や醤油、砂糖を入れるお店もあるそうです。大きな樽に塩と糠、サバの身を入れたら、3〜4か月寝かせます。発酵が進むことで旨味がどんどん増して、甘味もアップ。この間にサバがぐんぐん美味しさを蓄えて、へしこが完成するのです。

 

意外なアレンジレシピも!お家でへしこを食べよう

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「へしこに付いている糠は洗い落としたりせずに、ある程度は付けたまま焼いてください。糠が程よく焦げて、香ばしい風味が食欲をそそりますよ」と日置さん。この香ばしさが発酵した魚の旨味と合わさって、唯一無二の美味しさを生み出します。お家で焼く際には魚焼きグリルのほか、アルミホイルに乗せてトースターでも手軽に焼けるのだそう。

シンプルに焼いてご飯のお供にするのはもちろん、アレンジレシピを楽しむのもおすすめなのだとか。「身をほぐしてお茶漬けやチャーハンに入れると旨味が効いた味わいに。そして意外にも、洋風アレンジも可能。へしこをバジルやオリーブオイル、クルミなどと一緒にミキサーにかけ、ジェノベーゼ風へしこソースにしてピザやパスタにかけても美味しいんです! ちょっとおしゃれなアレンジも楽しんでみてください」。

そして、へしこはなんと言ってもお酒と相性が抜群。スライスしたへしことレモンを交互に挟んでさっぱり系おつまみにアレンジするのもおすすめです。意外なことにワインとも好相性。ぜひ、宮津で造られた日本酒やワインと一緒に楽しみたいですね。

 

ずっと残していきたい故郷の味​

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昔は魚屋や水産品の加工をしているお店だけではなく、味噌や梅干しのような感覚で各家庭で漬けられていたというへしこ。頻繁に食卓に上る、馴染み深い食べ物として親しまれていました。しかし近年は、へしこ作りに適した脂の乗ったサバの数が減り値段が高騰していることや、若者の魚離れから、へしこを食べる習慣も少しずつ薄れてきていると日置さんは話します。

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「地域独特のへしこという食べ物を、未来に残していきたいと思っています。そのために、へしこに使う特製塩の甘味を調整して食べやすくしたり、魚を焼く際の臭いが気になる苦手若い人でも手軽に食べられるようすでにほぐして焼いたものを「へしこちりめん」として販売したりと工夫を重ねています」。伝統を守りながら少しずつ進化を遂げているへしこ。一度食べたらハマる旨味たっぷりの味わいを、ぜひお試しあれ。

※へしこは製造店によって生食できるものとできないものがあります。お店の指示に従ってお召し上がりください。

 

<データ>
浜文商店
京都府宮津市字漁師1615
TEL:0772-22-2695
営業時間:8:00〜17:00
定休日:日曜日
交通アクセス:京都縦貫自動車道「宮津天橋立IC」から車で約5分

ホームページ http://hamabun.net<外部リンク>

 

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