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【天橋立#6】松だけじゃない!天橋立を彩る季節の植物

印刷用ページを表示する 記事ID:0010786 更新日:2021年8月18日更新
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日本三景のひとつ「天橋立」。奇跡の絶景として古代より人々の心を魅了し続けてきた“謎多き天橋立”の魅力を連載記事で紐解きます。第6回は、天橋立の植物についてご紹介。天橋立と言えば松並木が有名ですが、季節ごとに可憐な植物が天橋立を彩ることをご存知ですか? 今回は、天橋立で見かける植物を探して浜辺を散策してみました。

 

このあたりで出合える!植物探索エリア

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上から見ると一本の道に見える天橋立ですが、実はエリアごとに名前がついており、砂嘴の一番大きいエリアが「大天橋(だいてんきょう)」、回旋橋が架かる小島のようなエリアが「小天橋(しょうてんきょう)」と呼ばれています。
それぞれのエリアで目立つのはやはり松ですが、それ以外の植物を探しにいきましょう。看板などで確認しながら探索するのがオススメです!

 

潮風にも負けない!独自の成長を遂げる小天橋の植物

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まずは智恩寺がある文殊エリアから小天橋エリアに渡り、植物を探してみましょう。

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看板が指すハマナスの群生地に向かうと……

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ハマナス

松林と砂浜の境目で見つけました!こちら「ハマナス」です。
バラ科の低木であり、初夏を迎える頃に鮮やかな濃いピンクの花を咲かせます。天橋立は全国的にも知られるハマナスの群生地のひとつであり、地元住民の手で大切に守り育てられているものです。地元では、これらハマナスが咲く付近を「はまなすの小径」と呼んで、親しんでいるそうですよ。
最盛期は毎年およそ5月中旬頃、取材当時は6月上旬でしたが、見ることができました。ハマナスの花が結実し、その実が赤くなる頃、宮津は暑い夏を迎えます。

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波打ち際に向いて、歩いていきます。
遠くから見ると、まばらに雑草が生えているように見えますが……

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ハマエンドウ

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ハマボウフウ

砂浜に生えている植物たちをよーく見てみると、かわいらしい花をたくさん発見!
こちらはハマエンドウとハマボウフウ。先程のハマナスに続いて、「ハマ(浜)」が付く植物で、その名の通り海辺ならではの植物です。
ハマエンドウは春に濃い紫色の花を咲かせるマメ科の多年生植物(個体として複数年生存します)です。
ハマボウフウはセリ科の多年草で、食用や薬用としても活用される植物ですが、海浜の侵食や乱獲によって全国的に見ても希少な植物なんです。そんな植物が、天橋立の海岸には自生しているのですね。

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しかしながら、砂浜に植物があるのは少し意外に思いませんか?
「砂浜って乾燥していて、栄養分もなさそう」……というイメージがありますが、実は15cmほど下に掘ると、温度は安定し、湿度も保たれているので、しっかりと根を張れば充分に育つことができるのだそうです。
また、地表に出ている葉や茎の部分は、分厚くしたり細かい毛を生やすことで、水分の蒸発を防いだり潮風から守ったりしています。

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ハマヒルガオ

さて、散策を再開します。
次に見つけたこちらのアサガオに似ている花は「ハマヒルガオ」です。
海岸の砂地に生える多年草で、小天橋の広い範囲で開花時期となる5~6月頃にはハマヒルガオの群生を見ることができます。
ハマヒルガオはいわゆるヒルガオの仲間で、花自体にあまり違いはありません。ただし、茎や根、葉が海浜植物特有の形をしていて、ヒルガオがツル状に茎をのばすのに対し、ハマヒルガオの茎は砂浜の上を這うように広がります。葉もプリッと丸く、厚みがありかわいらしい形をしています。

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左)コマツヨイグサ、右)ウメガサソウ

散策をしてわかったことは、小天橋は植物の宝庫だということです。つい、大きな松を見上げながら歩きがちですが、足元に目を落としたり、ふと松以外の樹木を見てみると、実にさまざまな植物が植生していることがわかります。

小天橋で見られる植物の一例はこちら/[ ]内は開花時期
ハマエンドウ[4~7月]
ハマニガナ[4~10月]
コマツヨイグサ[4~11月]
ハマヒルガオ[5~6月]
ハマボウフウ[6~7月]
ウメガサソウ[6~7月]
ハマナス[6~8月]

 

松林の中で植物探し!大天橋の植物

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小天橋から橋を渡って「大天橋」へと歩みを進めました。ここはずらりと並ぶ松の木が有名です。大天橋の中でも1番幅広い場所(天橋立神社がある辺り)を「濃松(あつまつ)」と言い、付近は常緑広葉樹の森となっています。神社もあることから、この区域は昔から鎮守の森であったそうです。

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春になると、濃松の入り口付近にあるヤマザクラの大木が花を咲かせます。緑ばかりの森に咲き誇る可憐なピンク色の桜は、とても美しいと評判です。
実はヤマザクラは潮風に弱く、海辺で育つことはとても難しいのですが、周りの木々がヤマザクラを囲むように生えており、結果潮風から守られたため美しく咲くようになったそうです。

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ヤマザクラへは、文殊側にある「はしだて茶屋」を目指すと見つけやすいですよ。

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左)ヤマモモの実、右)トベラ

ほかにも、この付近では春にはヤマモモやモチノキが、初夏にはトベラやシャシャンボなどが花を咲かせます。写真は取材時(6月上旬)のもので、ヤマモモは花が終わり茶色の実をつけています。ここから真っ赤に熟していくのだそう。

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天橋立に数ある松の中でも、変わった形をした松や、いわれのある松などを「命名松」として、名前がついたものがあります。そんな松を探しながら歩くのも天橋立の散策の楽しみのひとつです。
写真の松は、大天橋の北側にある「船越の松」。他の松よりも比べ物にならないほどの高さが特徴です。
他にも、雪舟の名にちなんだ「雪舟の松」や、二頭の龍が天に昇っているように見える「双龍の松」など点在しています。命名松を探しながら歩いてみると、面白い発見がいろいろありますよ。

★「命名松」について詳しくはこちらの記事をチェック

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大天橋で見られる植物の一例はこちら。[ ]内は開花時期
ヤマモモ[3~4月]
モチノキ[4月]
ヤマナシ[4~5月]
タブノキ[4~5月]
ザイフリボク[4~5月]
トベラ[4~6月]
ケカマツカ[4~6月]
ヒメユズリハ[5~6月]
シャンシャンボ[5~7月]
ソヨゴ[6~7月]
マツグミ[7~8月]
ツバキ[11~4月※種類によってみられる時期が異なります]

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いかがでしたか? シーズンごとにさまざまな植物が花を咲かせる天橋立。散策する際はぜひ、足元や樹上などに視線を向けながらゆっくり歩いてみてください。思わぬところに咲いている小さな花々や果実などとの嬉しい出合いがあるかもしれません。
※花や果実の採取は禁止されているので、鑑賞しながらお散歩を楽しんでくださいね。

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