○宮津市教育委員会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領

平成29年6月28日

教育長訓令甲第2号

(趣旨)

第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して、法第7条に規定する事項に関し、宮津市教育委員会職員(宮津市教育委員会(以下「教育委員会」という。)の事務局及び学校その他の教育機関に勤務する職員(非常勤職員を含む。)をいう。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。

(用語)

第2条 この要領において使用する用語は、法において使用する用語の例による。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第3条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

(不当な差別的取扱いの基本的な考え方)

第4条 前条の不当な差別的取扱いとは、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービス及び各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所、時間帯等を制限すること、障害者でない者に対しては付さない条件を付けること等、障害者の権利利益を侵害することをいう。ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置として、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い及び合理的配慮の提供等をするために必要な範囲でプライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

2 前項の場合において、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

(正当な理由の判断の視点)

第5条 前条の正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービス及び各種機会の提供を拒否する等の取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないといえる場合である。

2 前項の場合において、正当な理由に相当するか否かについては、法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び事務又は事業の目的、内容、機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面及び状況に応じて総合的かつ客観的に判断することが必要である。

3 職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者(本人の意思表明が困難な場合は、その家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者を含む。)にその理由を説明し、理解を得るよう努めるものとする。

(合理的配慮の提供)

第6条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をしなければならない。

(合理的配慮の基本的な考え方)

第7条 前条の合理的配慮とは、事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものをいう。

2 社会的障壁の除去に当たっては、次に掲げる事項に留意する必要がある。

(1) 事務又は事業の目的、内容、機能等に照らし必要とされる範囲で、本来の業務に付随するものに限られること。

(2) 障害者でない者との比較において、同等の機会の提供を受けるためのものであること。

(3) 事務又は事業の目的、内容、機能等の本質的な変更には及ばないこと。

3 合理的配慮は、障害者の性別、年齢、状態、障害の特性並びに社会的障壁の除去が求められる具体的場面及び状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものである。したがって、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法の検討に当たっては、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟な対応が求められることに留意する必要がある。

4 第1項の意思の表明とは、言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示、身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達等障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳者を介するものを含む。)により伝えられることをいい、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、その家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明を含むものとする。

5 職員は、意思表明が困難な障害者で、その家族、介助者等の本人を補佐する者がいない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、自主的な合理的配慮の提供に努めるものとする。

6 合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等においては、その都度の合理的配慮の提供とは別に、必要な環境の整備に努めるものとする。

7 事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、この対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めるものとする。

(過重な負担の基本的な考え方)

第8条 過重な負担に相当するか否かについては、個別の事案ごとに次に掲げる要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的かつ客観的に判断するものとする。

(1) 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容又は機能を損なうか否か)

(2) 実現可能性の程度(物理的・技術的な制約、人的・体制上の制約)

(3) 費用・負担の程度

2 職員は、過重な負担に当たると判断した場合には、障害者(本人の意思表明が困難な場合は、その家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者を含む。)にその理由を説明し、理解を得るよう努めるものとする。

(不当な差別的取扱い及び合理的配慮に係る留意事項)

第9条 職員は、第3条から前条までの規定に関し、教育長が別に定める具体例に留意するものとする。

(監督者の責務)

第10条 職員のうち、課長相当職以上の地位にある者(市立幼稚園にあっては幼稚園長とする。)及び市立学校の校長(以下「監督者」という。)は、第3条から前条までに掲げる事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次に掲げる事項を実施しなければならない。

(1) 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、その所属職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障害者及びその家族その他の関係者(以下「障害者等」という。)から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等(以下「相談等」という。)があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、その所属職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(懲戒処分等)

第11条 職員が、その事務又は事業を行うに当たり、障害者に対し、不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮の不提供をした場合、その態様等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合に該当し、懲戒処分等に付されることがある。

(相談体制の整備)

第12条 職員による障害を理由とする差別に関する障害者等からの相談等に的確に対応するため、次に掲げる相談窓口を置く。

(1) 学校教育課長(教育委員会事務局、教育支援センター及び放課後児童クラブに関すること。)

(2) 社会教育課長(図書館、地区公民館、市民体育館、前尾記念文庫、みやづ歴史の館、社会教育活用施設、旧三上家住宅及び歴史資料館に関すること。)

(3) 市立幼稚園・学校の教頭又は特別支援教育コーディネーター(幼稚園及び小・中学校に関すること。)

2 相談等を受ける場合は、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面、電話、ファクシミリ、電子メール等障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段について、適切に配慮しなければならない。

3 第1項の相談窓口に寄せられた相談等は、市立学校においては学校教育課に、それ以外は各所管課に集約し、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用することとする。

4 第1項の相談窓口は、必要に応じ、相談窓口における相談体制の充実を図るよう努めるものとする。

(研修及び啓発)

第13条 教育委員会は、市人事担当部署及び京都府教育委員会等関係機関と連携し、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修及び啓発を行うものとする。

2 教育委員会は、新たに職員となった者が障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解し、新たに監督者となった職員が障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解するよう、必要な研修等を実施するものとする。

附 則

この要領は、平成29年6月28日から施行する。

宮津市教育委員会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領

平成29年6月28日 教育委員会教育長訓令甲第2号

(平成29年6月28日施行)