○宮津市空家空地対策の推進に関する条例

平成29年3月31日

条例第15号

(目的)

第1条 この条例は、適切な管理が行われていない空家等及び空地の増加が防災、防犯、衛生、景観等の生活環境に問題を生じさせ、さらには地域の活力を低下させる原因の一つになっていることに鑑み、空家等及び空地の発生の予防、適切な管理及び有効活用(以下「空家空地対策」と総称する。)に関し必要な事項を定めることにより、空家空地対策を総合的に推進し、もって安全で安心して暮らせる生活環境の確保及び地域の活性化に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 空家等 市内に所在する空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する空家等をいう。

(2) 空地 市内に所在する建築物の敷地でない土地(宅地及び市長が特に認めるものに限る。)(立木その他の土地に定着する物を含む。)であって、使用がなされていないことが常態であるもの又はこれに類する状態にあるものをいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。

(3) 特定空家等 空家等のうち、法第2条第2項に規定する特定空家等をいう。

(4) 特定空地 空地のうち、そのまま放置すれば著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空地をいう。

(5) 市民等 市内に居住し、滞在し、勤務し、又は在学する者をいう。

(6) 事業者 市内で事業活動を行う法人その他の団体及び個人をいう。

(7) 管理不全な状態 空家等又は空地が次のいずれかに該当する場合であって、当該空家等又は空地の周辺の生活環境を害するおそれがある状態をいう。

 外壁、屋根その他の建築材の一部が剥落し、又は破損している状態

 窓又は扉が破損し、不特定の者が侵入することができる状態

 雑草が繁茂している状態

 樹木の枝葉又は雑草が、隣地にはみ出している状態又は道路上にはみ出し安全な通行を確保する上での妨げとなっている状態

 ねずみ、はえ、蚊その他の衛生動物又は悪臭が発生している状態

 廃棄物が投棄されている状態

 からまでのいずれかに類するものとして市長が認める状態

(基本理念)

第3条 空家空地対策は、市民生活の安全及び安心の確保と利活用による地域の活性化の両面から総合的に推進するとともに、空家等及び空地の適切な管理はその所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)の責務であることを基本としつつ、所有者等、市、自治会、市民等及び事業者が相互に連携し、及び協働して取り組むものとする。

(所有者等の責務)

第4条 空家等又は空地の所有者等は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、空家等又は空地が管理不全な状態にならないよう、自らの責任及び負担において適切にこれを管理しなければならない。

2 空家等又は空地の所有者等は、空家空地対策に関する取組に協力するものとする。

3 空家等又は空地(建築物若しくは土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る。)を除く。)の所有者等は、市又は当該空家等若しくは空地が存する自治会に、その空家等又は空地の所有者等に関する情報を連絡するよう努めるものとする。

(市の責務)

第5条 市は、基本理念にのっとり、空家空地対策に関し必要な施策を講じなければならない。

(自治会及び市民等の役割)

第6条 自治会及び市民等は、基本理念にのっとり、空家空地対策に関する必要な取組の実施に努めるものとする。

2 自治会は、当該区域内の空家等及び空地の所有者等の情報を基に、適切な管理を促すよう当該所有者等との連絡調整に努めるとともに、市からその情報を求められたときは、提供するよう努めるものとする。

3 市民等は、管理不全な状態である空家等又は空地があると認めるときは、市又は当該自治会にその情報を提供するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、空家等又は空地の利活用、流通の促進その他の空家空地対策に関する必要な取組の実施に協力するものとする。

(発生の予防)

第8条 建築物の所有者等は、当該建築物の老朽化、未登記その他将来において空家等の発生の原因となるおそれがあるときは、当該建築物の修繕、登記その他空家等の発生を予防するために必要な措置をとるよう努めなければならない。

2 市は、良質な住宅の普及の促進を図るとともに、既存の建築物の保全のために必要な支援その他空家等の発生の予防に資する措置を講じるものとする。

(有効活用)

第9条 空家等又は空地の所有者等は、良好な生活環境の形成、地域社会の維持及び移住、定住等による地域の活性化を推進するため、自ら利用する見込みがない空家等又は空地を、第三者への賃貸、譲渡等により有効に活用するよう努めるものとする。

2 市、自治会、市民等及び事業者は、空家等又は空地の所有者等と相互に連携を図りながら、空家等又は空地の有効活用に取り組むものとする。

(空家空地対策計画)

第10条 市長は、空家空地対策を総合的かつ計画的に実施するため、宮津市空家空地対策計画を定めるものとする。

(調査等)

第11条 空家等に関する調査等については、法第9条及び第10条に定めるところによる。

2 市長は、空地を発見したとき又は市民等から第6条第2項若しくは第3項の規定による情報提供(空地情報に限る。)を受けたときは、当該空地の状態及び所有者等について必要な調査を行うことができる。

3 市長は、この条例の施行に必要な限度において、当該職員又はその委任した者に特定空地のおそれがあると認められる空地に立ち入って調査をさせることができる。

4 市長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を当該空地に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、当該空地の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。

5 第3項の規定により当該空地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

6 第3項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

7 空地に関する調査等については、市長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空地の所有者等に関するものについて、この条例の施行に必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。

(適切な管理の促進)

第12条 市長は、所有者等による空家等及び空地の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。

(特定空家等又は特定空地の認定)

第13条 市長は、第11条の規定による調査を行い、当該空家等又は空地が現に特定空家等又は特定空地であると認めるときは、特定空家等又は特定空地として認定するものとする。

2 市長は、前項の規定による認定をしようとするときは、あらかじめ、第20条に規定する協議会の意見を聴くものとする。

(助言又は指導)

第14条 特定空家等の所有者等に対する助言又は指導については、法第14条第1項に定めるところによる。

2 市長は、特定空地の所有者等に対し、繁茂した雑草の除草その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとるよう助言又は指導をすることができる。

(勧告)

第15条 特定空家等の所有者等に対する勧告については、法第14条第2項に定めるところによる。

2 市長は、前条第2項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空地の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、繁茂した雑草の除草その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。

(命令)

第16条 特定空家等の所有者等に対する命令については、法第14条第3項から第8項まで及び第13項に定めるところによる。

2 市長は、前条第2項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命じることができる。

3 市長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

4 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から5日以内に、市長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

5 市長は、前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては、第2項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

6 市長は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第2項の規定によって命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の3日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。

7 第5項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。

8 市長は、第1項及び第2項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、第20条に規定する協議会の意見を聴くものとする。

9 第2項の規定による命令については、宮津市行政手続条例(平成8年条例第14号)第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。

(公示等)

第17条 前条第1項に規定する命令をした場合における公示については、法第14条第11項及び第12項に定めるところによる。

2 市長は、前条第2項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他別に定める方法により、その旨を公示しなければならない。

3 前項の標識は、前条第2項の規定による命令に係る特定空地に設置することができる。この場合においては、当該特定空地の所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

(代執行)

第18条 第16条第1項に規定する命令をした場合における当該命令に係る措置の履行の確保については、法第14条第9項に定めるところによる。

2 第16条第1項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命じられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第14条第1項の助言若しくは指導又は第15条第1項の勧告が行われるべき者を確知することができないため第16条第1項に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、法第14条第10項に定めるところによる。

3 市長は、第16条第2項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命じられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。

4 市長は、第16条第2項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命じられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第14条第2項の助言若しくは指導又は第15条第2項の勧告が行われるべき者を確知することができないため第16条第2項に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、市長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

(緊急安全措置)

第19条 市長は、空家等又は空地が管理不全な状態にあり、かつ、これを放置することにより市民等の生命、身体又は財産に被害を及ぼすことが明らかである場合であって、当該所有者等に指導等を行う時間的余裕がないと認めるときに限り、原則として当該所有者等の同意を得て、当該空家等又は空地の危険な状態を緊急に回避するために必要最小限の措置(以下「緊急安全措置」という。)を自ら講じることができる。

2 市長は、前項の緊急安全措置を講じたときは、当該緊急安全措置に要した費用を当該所有者等から徴収するものとする。

(空家空地対策協議会)

第20条 市に、法第7条第1項に規定する協議会として、宮津市空家空地対策協議会(以下「協議会」という。)を置く。

2 協議会は、委員10人以内をもって組織する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはいけない。その職を退いた後も、同様とする。

(警察その他の関係機関との連携)

第21条 市長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、警察その他の関係機関に必要な措置について協力を要請することができる。

(関係法令の適用)

第22条 市長は、空家空地対策の推進に関し必要があると認めるときは、関係法令を適用し、必要な措置を講じるものとする。

(当事者による解決との関係)

第23条 この条例の規定は、空家等及び空地に関する紛争の当事者が訴訟その他の方法により自ら解決を図ることを妨げるものではない。

(委任)

第24条 この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定める。

(罰則)

第25条 第16条第1項の規定による命令に違反した者に対する罰則については、法第16条第1項に定めるところによる。

2 第11条第1項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者に対する罰則については、法第16条第1項に定めるところによる。

3 第16条第2項の規定による市長の命令に違反した者は、5万円以下の過料に処する。

附 則

この条例は、平成29年4月1日から施行する。

宮津市空家空地対策の推進に関する条例

平成29年3月31日 条例第15号

(平成29年4月1日施行)