写真提供:京都府立丹後郷土資料館
木造千手観音立像
千手観音菩薩は、千の目と千の手をもつとされ、広く多くの衆生を救済することを象徴的に表した観音菩薩である。けれども彫刻として造像されるときは、合掌する真手のほか、左右各二十手の四十二臂の姿で表されるのが普通で、実際に千手を表現しているのは、大阪葛井寺像や奈良唐招提寺像など極めてまれである。これは左右各二十の四十手のそれぞれが二十五界の衆生を救済するとして、理念的な省略が行われたことによる。千手観音の信仰は、十一面観音とともに古くからとても盛んで、造像例も多い。特に京都蓮華王院(三十三間堂)に残る千一躯の千手観音像は、これを如実に示している。  本像は、寄木造、漆箔の像で、典型的な平安時代後期の作風を示す。その点では本尊の阿弥陀三尊像と近いものであるが、細かくみると、両脇侍と比較して、例えば頭髪の繊細な表現、肉身や肩から掛ける条帛の柔軟な彫法、腰で折り返した裳の自然な衣文表現など、本像のほうがより洗練された様式をもっている。おそらく時代的にも少しさかのぼるもので、中央の正統的な仏師の作になるものであろう。
重要文化財 数 量一躯
美術工芸品 年代等平安
彫刻 所有者禅海寺
日置地区 所在地字日置