紙本墨画楼閣山水図襖貼付
           岡本豊彦筆

 岡本豊彦の手にかかる襖絵である。表は楼閣山水図、裏側には放牛図が描かれる。墨の濃淡を生かした筆致で、自然で親しみやすい風景が広がり、豊彦の力量を示すまたとない佳品である。  筆者の岡本豊彦(1773〜1845)は字を子彦、号を紅村、鯉喬などとした。備中の生まれ、後に京都へ出て、呉春門下となり、人物・花鳥・山水いずれも巧みであったといわれる。呉春の弟である松村景文(1779〜1843)とともに四条派の基礎を築き、後にその門からは塩川文麟らが出て、幸野楳嶺、竹内栖鳳と続いて、明治以降の京都画壇を形作ることとなった。当寺の天井画に作者として名前を残すだけでなく、素絢とともに襖絵が残されることからみて、素絢・豊彦の二人か、そのいずれかが、天井画制作のプロデューサー的役割を果たしたものと思われる。  「楼閣山水図」は、さらに左へと続く図様を示しており、現状では当初の姿が失われていると思われ、その散逸が惜しまれる。なお裏面の「放牛図」は、左二面と右二面で図様のつながりが悪く、改装時に他の画面も含めて錯綜があったものと思われる。また表面と比べて、筆致に明らかな差が認められ、豊彦自身の手になるか、弟子の手になるか考慮の余地があろう。  「楼閣山水図」の落款は「豊彦」、印章は「豊彦」「子彦」の白文方印を押す。
未指定文化財 数 量四面
美術工芸品 年代等江戸(後期)
絵画 所有者智源寺
宮津地区 所在地字京街道